点と線

ご存じかと思いますがロースクールは2年制と3年制があり,私は3年制のコースです。
そして私のいるロースクールでは私のコースの2年生と別コースの新入生が同じクラスで学びます。
全体で飲み会を開いたこともあり,同じメンタリティーの人が多いのか,始まって3週間にして勉強会をやったりしています。
そこでの印象を一言。
2年コース(既修組)で入ってきた人は点の勉強をしてきた感じです。全体像とか価値観の衝突の理解は二の次。よく問題(questionとproblem)となるところの一応の考えを全面的に人の言葉に頼りつつ効率的に書面に表すことができる,そんな感じです。一見要領よく邪道に見えるこの勉強。私の見たところではある所は割り切り,ある所は理解をあきらめ,集中するべきところは砂を噛むような訓練を繰り返しつつ勉強してきたのではないかと思います。先輩方をみると勉強の習慣はすでにできており勉強のつらい所も見えているので,理解を線でつなげて蜘蛛の巣のような面の理解になればおそらく試験は大丈夫な感じです。
一方,我々3年コース(未修組)は理解しつつ進んでいくところに土台の堅さを感じます。しかもそれを何となくであっても口に出して相手に伝える能力を持っている人もある程度多いようです。この点から考えると科目全体のイメージも線の組み合わせである程度持てているようです。こういう勉強はやっていて苦にはならない。その分安心してしまうのでしょうか。書面に効率的に密度高くあらわせる人はさほど多くないようです。そして書面の密度を上げるために必要な繰り返しの訓練は不足しているようです。これは新しいことに一生懸命でそちらに目が向かないせいもありますが,そういう意識がないせいもあります。
点と線とは日本軍が中国戦線で使った基本戦略でありますが,点を守ることに一番の重点が置かれました。線はしばしば断絶もありましたが,点は存在しているので修復し,大体の路線は(メンテはともかく)大体終戦まで機能したようです。
勉強でも同様に点を死守することは大変ですが,線→面につなげることが可能です。逆に点がしっかりしていないといざというときの拠点がなくなることもあり得ます。
2つの異なるタイプは補完可能だと思いますが,先生方もこのような違いを認識した上で,予備校的な整理+記憶という方法をも軽視しない方が良いと思います。特に定義・趣旨はこういう勉強を強調した方がいいのではないかと思います。